奈良朝、聖武帝から桓武帝まで6代に亘る帝の御代を描いた、大河ロマン。怨霊はなぜ生まれたか。なぜ、人に祟るのか。 皇女であり斎王でもあったイノエ内親王の生涯を軸に、平城の闇に切り込んでいく。温暖化や天災、努力しても報われぬ世の中、それは今の世の中と似ていないだろうか……。
奈良の時代を、異世界ファンタジーのように表現しようと思いました。しかし、実在の人物を描くからには、それなりの覚悟はありました。歴史書等に書かれたことがらを元に、それが起きた必然性をひたすら考え、執筆しました。また、時代の雰囲気を壊さぬよう、言葉選びにも気を遣いました。
[表紙絵]原田直次郎「騎龍観音」(護国寺 所蔵)